戦略経営者 2005年2月号 掲載記事紹介




求人広告代理店が提案する携帯版人材募集サイト

飲食関係の求人に携帯HPが威力を発揮
従業員の削減に力を入れている企業が少なくない一方で、スタッフの入れ替わりが激しい飲食やアパレルチェーンの求人需要は高い。それは、フリーペーパーなどを含めた様々な求人雑誌を見れば明らか。飲食やファッション業界の広告が数多く掲載されている。そして、最近それらのなかに「http://msaiyo.jp/(社名)」という携帯電話用サイトのアドレスが頻繁に載っているのをご存知だろうか。実はそれらのサイトは求人広告代理店のキイストンが提供する、求人専用の携帯版ホームページ(HP)作成システム『エム採用』で作られたもの。各企業はエム採用を通じて、求人誌の限られたスペースでは収まりきれない詳細な募集要項や地図などを載せた自社単独の求人サイトをもつことができる。
求職者の側はそれらの情報を見たうえで、氏名、年齢、希望面接日などが書き込める応募フォームを使って二四時間いつでも申し込める。パソコンからでも求人情報が入手できる今、「パケット代が高いうえに画面サイズの小さい携帯電話をわざわざ使う必要があるのか」と思われる向きもあるだろう。しかし携帯HPならではの利点があることを忘れてはならない。そもそも店舗勤務が中心の飲食やファッション関係の職場ではあまりパソコンを使わないし、携帯はあるがパソコンは持っていないという若いフリーターは多い。携帯のほうが彼らにとって馴染み深いのだ。
細見昇市社長(42)は「エム採用のサービスを二〇〇二年に始めた当初、『携帯サイトでは応募は集まらないはず』と各方面から冷ややかな目を向けられていました。ところが求人ニーズがとりわけ高い飲食、ファッション業界にピタリとはまったことから次第に注目されだしました」と振り返る。ちなみに求人サイトとしては一般的な、複数の会社の募集広告を勤務地や業種などの条件で検索出来るポータル(玄関)サイトの形態にしなかったのは、条件に見合った企業情報にたどり着くには最低一〇回近くクリックする必要があるので、操作性に劣る携帯には不向きと考えたからだ。それより様々な媒体にHPアドレスを掲載してダイレクトにつないでもらう方法を選んだ。

アクセスログ解析で求人誌の効果測定ができる
現在、エム採用の導入企業は約二五〇社。さらにトライアルとして試験的に導入している企業を含めると六〇〇社を超える。牛丼の大手チェーンやアパレル大手メーカーなどもユーザーだ。どこも応募者数アップという成果をあげている。
また、東京に本社を置くある焼鳥チェーンの場合、応募者数を従来の一・三倍に増やすだけでなく、人材募集費を減らす効果も得たという。年間四〇〇〇万円かけていたコストを三〇〇〇万円に削除するのに成功した。
「エム採用はアクセス解析の機能があり、月別、日別、時間別のアクセス状況がわかります。これによって、どの求人誌に広告を出した後がアクセス数が伸びるかといった効果測定が行えます。出稿媒体の選別に役立てれば無駄なコストが省けます」
エム採用のサービスを始めたことでキイストンの業績は格段に伸びている。基本企画として初期導入費二六万二五〇〇円、月額管理費一万五〇〇円という一社あたりの収入だけでなく、「エム採用の会社」として知名度が広まったことで、広告主と求人誌の橋渡しをする求人広告代理店としての仕事が以前に増して受注できるようになったからだ。取引先の数は倍増したという。

営業マン個人のHPで自己アピール
ITを使った独自のサービスで広告代理店業界にその名を轟かせた細見社長は、自社の営業戦略の中にもITを上手くとり入れている。営業マンの悩みの種は、新規に取引を始めたい企業にいくら足繁く通ったところで、担当者になかなか名前をおぼえてもらえないこと。競合他社の営業マンがひっきりなしに訪れるわけだからそれも仕方ない。しかしそこで細見社長は、趣味や特技、あるいは自分の写真を載せた個人用HPを営業マン一人ひとりに制作させ、相手企業の担当者に閲覧してもらうことを義務づけた。アドレスについては名刺に印字して、手渡す際に「自己PRをしたHPですので、ぜひ見てください」と付け加えるように指示したという。「さらに各営業マンのHPには、『お客様満足調査』のページを設け、営業マンの対応に不満がないかどうかや提案内容の評価について、アンケート形式で回答してもらっています。その回答については私のところにも届くようにしており、営業マンが問題のある売り込み方をしていた場合にはすぐに改善させます」
細見社長の信条は「差別化戦略」。営業でもサービスでも、他社とは違うものを展開していくことが会社の発展には重要と考える。「差別化戦略を進めるうえで、ITは私にとって強い武器。今後もITをうまく活用した独自の戦略を実践していきたい」と細見社長は熱く語る。






 
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