飲食店経営 2005年2月号 掲載記事紹介




特別企画
フードサービスの人材採用が変わる!
ケータイサイトを活用した人材募集戦略のすべて

携帯電話の普及により、フードサービスにおける人材採用の形態が大きな変化を見せている。自社のケータイ版人材採用サイトを立ち上げて人材募集を行い高い効果をあげたり、採用のためのコスト削減や作業の合理化を実現するケースが目立っている。ここでは、こうしたケータイ版の人材募集採用サイトの立ち上げを支援するキイストンを取材しながら、その最新同行を探る

ケータイを活用した人材募集革新の先駆者といえるキイストン代表取締役の細見昇市氏は、人材採用の手法の動向について、こう分析する。
「ここ3年ほどで、フードサービスの人材採用の手法は大きく変化してきています。3年ほど前は、新卒は別として、中途採用やアルバイトを募集するときには、有料の求人専門誌や新聞の折込を使うことが主流でした。インターネットが普及し始めたころでしたので、ネットからもそこそこ応募がくるという程度。しかし、今や状況は大きく変わり、新卒・中途採用ともにインターネットからの応募が圧倒的に多くなってきました。一方で飲食業など現場色の濃い仕事では、ネットと同様に無料で情報収集できるフリーペーパーが普及してきています。現在は。インターネットとフリーペーパーの二極化が急速に進んでいます。」
飲食店に勤務する店長や従業員は、仕事上、常にパソコンを使うという環境にはいない。勤務時間も長いので、ウェブ上に求人広告を載せてもなかなか効果が出ないというのが現状だ。こうした職種はフリーペーパーに流れる傾向にある。
「当社が携帯電話の専用サイトに着目したのは、若い人たちにとっての携帯電話が、通話のための道具というよりも、メールのやりとりや情報交換のツールとして活用されているということでした。これを採用の場で使ったらどうかと考えたのです。一方、有料の求人専門誌を見ると、飲食店の5割以上は自社のURLを載せています。しかしフリーペーパーを持ち帰って、わざわざパソコンで調べてから応募ということはしません。アルバイトの応募なら、フリーペーパーを見たその場で3つか4つの店をチェックして、すぐに電話するでしょう。必ずしもパソコンはそばにありませんが、携帯電話は常に持っている。本当にその会社について知りたかったら、携帯用のホームページを見ないだろうかと発想しました。そして、自社で2年ほど前に実験した結果、アクセスがかなり多かったのです」(細見氏)
若い世代はメールに慣れているので、URLを打ち込むことも苦ではないだろうと、最初は企業のホームページをつくり、採用のポータルサイトをつくろうと発想したという。しかし、ポータルサイト型では、都道府県、エリア、業種、職種、時給などと順番を絞り込んでいくので、登録するまで10回近く操作をしなくてはならない。画面が変わるまでの時間もうっとうしく、そのたびにパケット料金が加算される。そこで同社は、各企業ごとにケータイ版人材採用サイトを立ち上げることにしたのである。

フードサービスに特化した求人情報サイトを稼動
同社のケータイ版人材採用サイト「エム採用」は、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)方式を採用しているため、ユーザーの各企業は多額の初期投資をすることなく、ローコストで導入することができる。ユーザー側で独自に情報を更新したり、アクセスログを解析することができることも大きなメリットだ。アクセスログに、いつ、どこの携帯電話会社あるいはパソコンからアクセスし、どのページを見ていったかが記録されるので、応募者が何に興味を持っているか、分析することができる。平均すると、応募数1件に対してその5〜10倍のアクセスがあるという。問い合わせ件数が少ないところはサイトへのアクセスも少なく、自社サイトへの誘導効果を検証することができる。 また、応募する側への配慮も怠っていない。サイトには応募フォームがあるので、応募希望者はそのフォームに従って、名前、連絡先、希望職種、自己ピーアールなどを記入して送信する。志望動機などを考える必要がなく手軽に何店でも応募できるメリットがある。メールでの問い合わせは時間の制約がないことも特徴。夜型の生活をしている学生は多く、現在、飲食業に勤務している方であれば自分の自由になる時間は深夜だけという人も少なくない。エム採用へのアクセスや応募も、比較的夜遅い時間に多く、飲食業経験者の応募が多いのも顕著だ。
なお同社では、フードサービスに特化したケータイ版求人情報サイト「in−職」(http://in-shoku.jp)を、2004年11月から本格的に稼動させた。求人情報を登録している各店の緯度、経度のデータが入力されており、応募者が携帯電話の位置情報を使って検索すると、現在の場所に近い店舗から順に表示する機能を搭載している。他の情報サイトでは、大手から順番に出てくることが多いが、in−職からの検索では、小規模店が上位に表示される可能性もある。in−職のサイトでは社名や業種といった企業情報のみに絞っているので、それをエム採用にリンクして利用してもらう狙いだ。
05年末に登録店舗3000件を目標とし、フードサービス業界ではナンバーワンの人材情報サイトに育てたいという意向で、大学、短大、調理師学校などにもネットワークづくりを行っている。

先駆者の視点
URLを告知することで相乗効果が高まる
当社でエム採用のサービスを提供し始めてから2年間で、すでにシステムを7回バージョンアップしています。エム採用は各企業様のケータイ版人材採用専門サイトですが、求人誌や店内のポスター、あるいは持ち帰りができるショップカードにエム採用のURLを入れることで、サイトが独り歩きを始め、相乗効果が確実に上がっていきます。
今、人材採用は大きく変わっています。これまでのように募集国国を出すだけではなく、時流にあった方法に取り組み、応募者の視点で採用方法を換えていくべきだと思います。そのためにエム採用は非常に有効です。

人材募集戦略1
ケータイサイトからのアルバイト応募がホームページ経由をしのぐ
グローバルダイニング(本社/東京・港区)

「カフェ ラ・ボエム」「ゼスト キャンティーナ」「モンスーンカフェ」「権八」などの展開するグローバルダイニングでは、アルバイトの主力である若年層に携帯電話が広く普及しているという理由から、エム採用を導入している。
エム採用というシステムを紹介された当初は、携帯電話を使うという着眼点はユニークなものの、どのくらいの実績が上がるか分からないという不安があったため、2004年5月に約1ヶ月間の実験導入を行った。その結果予想以上のエントリー数があったため、正式な導入を決め、04年6月ごろから本格的に活用している。同社では自社ホームページからもアルバイトの応募を受け付けているが、実際に応募フォームが送信されてくるのは、エム採用からの方が多くなっている。ホームページの応募フォームではかなり詳しい個人情報を入力してもらうのに比べて、エム採用のフォームが簡便で、携帯電話からすぐに送信できる利便性が一因といえよう。
同社での各店のアルバイトの募集は、紙媒体も以前から活用しており、基本的には紙媒体とエム採用を連動させるというスタンスを取っている。実際の応募数や反応は、エリアによってばらつきが大きいが、2ケタの応募者が集まることもあり、確かな手応えを感じている。「エム採用へのアクセス数は、夕方から夜間の時間帯が多くなっていますね。応募してくるのは、20代前半の学生やフリーターの方がほとんどで、8、9割を占めています。今は、携帯電話で情報を得る事が当たり前という時代になってきていますし、リアルタイムの求人情報を見ることができ、すぐに応募できる手軽さがエム採用の良さだと思います」と、同社採用教育チーム採用担当の田中千恵美さんは語っている。

人材募集戦略2
応募者との双方向のやりとりで募集効率が格段にアップ
ねぎしフードサービス(本社/東京・新宿区)

炭火たん焼き、麦とろ、和風シチューを主力商品とする「新宿ねぎし」18店と、韓国家庭料理「コパンコパン」2店を東京都内で経営するねぎしフードサービスでは、従来は店舗ごとに求人を行っていたため、募集費用もかなりかさんでいた。エム採用を紹介されると、携帯電話から応募ができるというアイデアに共感し、2003年3月に導入を決め、同年夏ごろから本格的に稼動させるようになった。また、同年9月にはエム採用の自社アドレスを入れた募集ポスターを作成。店頭に張るときには、アドレス入りのカードを添え、興味を持った人が持ち帰れるようにした。「それまでは各店舗で電話で応募を受けていましたから、忙しい時間には電話に出られなかったり、ゆっくり応対できなかったりするので、機会の紛失もあったと思います。エム採用ではまずメールで応募が来るので、24時間受け付けられますし、受ける側としても便利です」と同社開発担当の中村紀美子さんは説明する。
また、エム採用を使って本部で一括して応募を受けることにより、「希望の店の採用はもう決まってしまいましたが、数百mしか離れていないこちらの店で働きませんか?」と提案するなど、応募者との双方向のやりとりも可能になった。その結果、新宿近辺など、同社の店舗が集中しているエリアでは、募集効率を高めることができている。
エム採用では、応募フォームとは別に、気軽な問い合わせも受け付けるようにしている。これは、応募者が氏名を名乗らなくても構わないので、「こういう髪型なのですが採用してもらえますか」といった質問が来ることもあるという。正式に応募する前に気になることを確認して痛いという場合にも、携帯メールなら気兼ねせずに済むことから、よく利用されているという。

人材募集戦略3
FCチェーンのネットワークを生かし費用を分担してフル活用する
リパブリック(本社/横浜・中区)

おしゃれな炭火焼き店「横浜天下鳥」を神奈川、東京を中心にFC展開するリパブリックの鈴木正一社長がキイストンのエム採用を知ったのは、2004年夏、交流のある飲食企業の役員に「人材採用に素晴らしく効果がある」と聞いたのがきっかけ。「各店舗で募集したい若年層のスタッフは、携帯電話の主要ユーザーであることから、エム採用を導入することにしました」(鈴木社長)
「直営もFCも分け隔てはない」ことがポリシーの同社では、エム採用の初期コスト、運営コストも本部および加盟店で分担することで、費用面でも無理なく導入することができた。「個人店であったり、チェーン店でも1店ごとにサイトをつくるのでは費用も大変ですが、当社では直営4店、FC26店がありますので、一括してつくれば月々のランニングコストも一店あたり数百円で済みます。これはFC企業のメリットの一つですね。また、スペースに制約のある紙媒体と違って、エム採用のサイトには多彩な情報を入れられる点も便利です。」と鈴木社長。
同社では04年11月にエム採用のドメインを取得し、サイトを立ち上げた。04年中は実際の募集はほとんど行っていなかったが、すぐに1日10件以上のアクセスがあり、手応えは良好だ。
「自社のホームページには1日300件ほどのアクセス数がありますが、その中にはFC加盟希望者なども含まれますし、多様な動機からアクセスされています。エム採用のサイトは応募が目的とはっきりしていますので、05年から本格的に募集に使う際に、大いに期待できると思います」(鈴木社長)
同社では、今後は紙媒体とも連動させながら、エム採用を積極的に活用していく意向である。

人材募集戦略4
パソコンは苦手だが有能な飲食経験者からの応募も顕著に増える
リンク・ワン(本社/東京・渋谷区)

フードビジネスを中心とした経営コンサルティング、および人材支援サービスを行うリンク・ワンでは、特にプロ店長派遣事業で実績を上げ、2004年7月には東証マザーズに上場を果たした。
プロ店長派遣のほか、人材紹介、アルバイト関連事業、教育開発などの業務を行っているため、クライアントの飲食企業から求人に関する相談を受けることも多い。そこで同社では、まず自社の人材紹介事業のために03年2月にエム採用を導入してみたところ、アクセス数、応募数ともに多かったため、エム採用の代理店としてキイストンと契約を結び、エム採用の紹介・販売を行うようになった。フードビジネスに携わっている人材は、紙媒体を利用して求職活動を行うことが多く、パソコンは持っていない、あるいはあまり使わないという人が少なくない。しかしパソコンは持っていなくても携帯電話なら持っている人は多いため、紙媒体とケータイ版人材採用サイトのエム採用とは、比較的結びつけやすいといえる。
同社のエム採用サイトへのアクセス数は、04年6〜12月で約1000件なので、1日当たり10〜20件のアクセスがあることになる。応募者の中には、若いアルバイト志望者だけではなく、経験者の応募も比較的多いのが特徴である。フードビジネスに従事していると、勤務時間が長く、帰宅時間が遅いという傾向があるが、24時間応募が可能なエム採用であれば、自分の自由となる時間にアクセスし、応募することができる。同社のエム採用サイトへのアクセスのピークは、夜8時から深夜1時ごろで、店舗に勤務している経験者が、勤務時間後に応募しているケースも多いとみている。
現在、リンク・ワン経由でエム採用を導入した飲食企業は7社ほどあるが、いずれも大きな成果を上げているという。




 
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