日経MJ 2004年10月8日付 掲載記事紹介




駆けるeベンチャー2

求人雑誌を見ると、http://msaiyo.jpという携帯電話用サイトのアドレスを複数の企業が掲載している事に気付く。求職者に携帯からインターネットで応募してもらうためだ。そのサイトを簡単に作れるシステム「エム採用」を開発したのが、リクルート出身の細見昇市社長が設立したキイストン(東京・港)だ。
二〇〇二年にエム採用を始めた当初、携帯サイトで人が集まるわけがないと「企業は冷ややかだった」と細見社長は苦笑する。
勝算はあった。主に狙ったのは職場であまりパソコンを使わない飲食やファッション、タクシー、エステ業界。「(パソコンより)手軽に応募できる携帯での需要は大きかった」。
一年前に使用料を値上げしたにもかかわらず、顧客は約六百社へと拡大した。
単純な携帯求人サイトでは他者にまねされるのも早い。ユニークなネット関連サービスを次々開発し、求人企業や求職者の潜在ニーズを掘り起こすのが同社の特徴だ。
例えば、求人企業のホームページは事業紹介の部分に比べ「採用ページは興味を持たせる内容になっている」という点。
早速、動画アニメを使い、企業トップの個性や会社の特徴、人材育成戦略などをストーリー仕立てで紹介するサイト作成を始めた。
「電車で漫画を熱心に読んでいる人は多いし、深夜のテレビでもアニメ番組がある。幅広い層を引き込むツールとしてアニメは有効」と考えた。企業の要望や採用への考え方を聞き、漫画家やナレーターに作成を依頼。料金は二十秒で五十万円かかるが、墓地・墓石販売大手のニチリョクなど三社が採用した。「堅くなりがちなトップのメッセージを親しみやすく伝えられた。新卒の学生にも面白いと好評だった」(ニチリョク)という。 「企業の人材採用を支援する様々な(ツールをそろえた)専門店のデパートをネット上に作る」ことで顧客基盤固めを急ぐ。
十一月からは採用や人事担当者らの静止画を載せたページに求職者が質問を書き込むと、文中のキーワードに応じた答えを、漫画の「吹き出し」調で即座に返すシステムも売り出す。
担当者の笑顔や困った顔、おじぎしている様子など様々な表情を撮影し、質問者への回答と同時に表示する。
用意していない質問があると「ごめんなさい。明日のご回答でもいいですか?」などと答える。翌日には担当者が内容に沿った答えを書き込み、データベースに追加する。
採用に無関係な質問でも遊び心のある答えを用意して対応すれば「求職者がその企業に好感を持ち、サイトもじっくり見てくれる」(細見社長)という仕掛けだ。
ほかにも求職者の適性を占い方式で診断する仕組みや、店の雰囲気などを盛り込んで職場選びの参考にできる飲食業界専用の求人サイトも導入した。
二〇〇五年三月期は営業担当者を五人から十八人に増員する。売上高は前の一・六倍の九億三千万円を計画する。業容拡大に弾みをつけ、「三年後に二十五億円を目指す」(細見社長)という。




 
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