日経MJ 2005年8月5日付 掲載記事紹介




食のチャレンジャー

人材コンサルティングのキイストン(東京・港)は、携帯電話を使って飲食店の求人情報を提供している。二十四時間どこからでも申し込める簡便性で、より良い人材を広く集める狙い。すでに吉野家ディー・アンド・シーなど五百社が利用しており、人材の流動性が高い外食業界の採用市場を変えつつある。
「ケータイHPから24h応募可。http://msaiyo.jp/・・・」。求人誌で外食店の欄に目をやると、こんな文句と携帯電話ホームページアドレスがあちこちに並んでいる。このアドレスに含まれる「msaiyo(エム採用)」こそが、キイストンが二〇〇二年に立ち上げた中核事業の名称だ。
エム採用は求人専用の携帯ホームページ作成システム。導入した企業は自社独自の携帯ホームページを簡単に作り、欲しい人材に向けた募集概要や仕事の紹介、従業員の声など詳細な情報を載せることができる。ページ内にある記入欄からそのまま、いつでも応募可能な状態にしているので人材獲得の機会逃しがなくなる仕組みだ。
吉野家など五百社が導入したが、その大半が外食業だ。「飲食店ではパソコンを使う機会が少ないし、応募者に多い若者も携帯は持っていてもパソコンを持っていないことが多い。だから携帯ページが有効な窓口になる」(細見昇市社長)。携帯ページを開設すると、応募者数は平均一・二倍増えるという。
エム採用を活用したコンサルティング業務も手がける。十年前に数種類しかなかった求人誌は、今やフリーペーパーの普及で十数種類に増加。企業にとっては複数の媒体に求人広告をのせるため負担が増した。エム採用ではアクセスを受けた日時を分析できるため、どの媒体を見て応募したかを突き止められる。これをもとに非効率的な媒体への広告注視も提案。ある焼き鳥チェーンではエム採用導入によって求人費を三割減らしたが、応募人数は一・三倍に増えたという。
エム採用を補完するための多様なサービス、付加機能の充実も進めている。二〇〇三年十二月には外食業界に完全に特化した求人サービス「in-職」を始めた。携帯電話の位置情報機能を基に、人員募集をしている最寄の飲食店を紹介するサービスで、現在六千店が参加。〇五年五月には店長給の人材を専門に募集する「in-職ハイパー」を始めた。導入企業の各社長が社風や理念を語るコラムを載せて、その企業に適した人材を集める。キイストンの〇五年三月期売上高は六億一千万円。今期は「in-職ハイパー」などの効果でエム採用の利用企業数を千社まで伸ばし、売上高八億三千五百万円を目指す。「七月までの流れなら十億円もいける」(細見社長)と強気だ。
今のところ携帯のホームページ作成に大手のライバル企業はいないが、市場拡大を背景に出現するリスクが高まっている。ネットサービスは認知度の高い先行者が有利な市場。近くIPOを実施して一気に知名度を高め、外食の採用市場での地位を固めたい考えだ。社名の通り、外食業界の労働市場を支える「要石(キー・ストーン)」を目指している。

 
無断転載禁止。全ての著作権は(株)キイストンに帰属します。